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久しぶりを肴に

それが当時の父親像の全てではないとは思うが、 男の当然なのか漏れることなく女に弱く^^v 男の代名詞のような無口な父(ひと)だった。 少なくとも子供の前では… 父と一緒に過ごしたという記憶はとぎれとぎれに短かいもので まして独り暮らしを始めた娘に距離を置いてからは 伝えたいことの何一つ言葉にできずにいた父だったと思う。 ごったに映る日々の記憶はいまだ整理されないままなのだが 母親が留守がちな男の子を数日預かっていた短い秋のことだった。 「ひろ君のお父さん入院してるの、一緒にお祭りに連れて行ってあげてもいい?」 父から良い返事がもらえるという期待もなかったのだが 私の横で見上げる小さな瞳に両手を差し出すと、父はひょいと彼を抱き上げ肩車をした。 それは思いもかけないことだった。 はじめて父の背中を誇らしく意識した15の秋だった。 ある時はありのすさびに語らはで… 祭りの記憶から幾年を過ぎ グラスの淵に危なげに横たわり続けた記憶を貪りながら 暖かい日差しを受け、あの日と同じ鳥居を潜る。 久しぶりを肴に、目頭も熱い^^