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抹殺された伝承

どちらかと言えば少しどころではなく、至る所が折れている。 そうして何度目かの飛騨金山にふらっと出かけた。 一人通るのがやっとの細い路地も変わることなくある。 隠れるように残るベンガラの赤、 網代張りの戸袋に下見板張りの壁が美しい。 他人事のように言えば異論もあるだろうけれど地味な町。 たいした知識などなく、知ったかぶりを許してね…だけど^^ 『日本書紀』で、皇命に逆らう賊とされた両面宿儺の伝説がここに眠る。 『日本書紀』は 両面宿儺を、皇命に従わず、人民から略奪を楽しんでいる鬼人として 和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した、と語る。 けれど町の伝承資料には異伝があると記している。 その抹殺された異伝がささやく。 両面宿儺は出波平から金山の小山に飛来し、37日間大陀羅尼を唱え、 国家安全・五穀豊穣を祈念して高沢山へ去った…。 村人たちは、宿儺が飛来した山を鎮守山として観音堂を建て祭った。 歴史も文化もその多くは時の勝者のもの。 集客に精を出す観光文化のほとんどもそれら勝者の歴史を称え、 FB(SNS)が大衆を侵略するように地域にプライドも醸成するのだけれど…。 けれどこの町に残る宿儺の物語は 例えば明智の子孫がひっそりと首塚を守ったみたいに その成り立ち故に秘め事のように祭られたのかもしれない? そんなところが少し特異な様相をみせるから惹かれる。 秘密の道のようにある小山の段々をのぼり、観音堂を訪ねた。 どの様な今がこの観音堂に繋がっているかは分からないけれど、 今は覆いつくす夏草に守られて佇む。 ここに風に乗って飛来したのかと思うと、 何となくむせる風も心地よい^^ 実は、この町以外の旧飛騨街道沿いにも 皇命に逆らった賊(両面宿儺)の様々な伝承が残されている。 それらも『日本書紀』と異なるものが多く、 そこには抹殺された飛騨の歴史の謎があるのかもと、想像も膨らむ。 <font color="gray">『<strong>安吾の新日本地理 飛騨・高山の抹殺 ―中部の巻―</strong>』 坂口安吾の著</font> なんとなくおもしろい考察かも! さて、流行り病に折れたなにかがしも両面