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珈琲のお湯が沸かない

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  待ち遠しいことがあると、 チクタクと秒針の音を聞いて過ごしたものだ。 今じゃ我が家で時を刻むのはこの卵だけ。 ただこの卵はDIYの卵でひよこが生まれてこないし、 そもそも電池切れだ^^ 今じゃ時を刻むという言葉が不似合いなデジタルな時間が流れる。 時は刻むものじゃなくなったのだろう。 だからお湯を沸かすほどの時間はビュンと風が吹いて過ぎる。 そうしてお湯が沸く時間は吹き溜まりに積みあがる。 人生もビュンと飛んで過ぎて積みあがる^^ 君が居なくなって頑張った自分にご褒美だなどと、 そんな言葉で締めくくる可愛いい時間を生きた記憶はない。 その多くが独りよがりで、 キラキラ飾り立て迫ってきた時間なんて どうでもよいことばかりだったと言うか、 そんなことがほとんどで… 私は殺風景なデジタル珈琲を飲み続けた。 河津に小さな土地を買って、 テントも買って、寝袋も買って、 カンデラを灯してカリカリ豆を挽く間に 君が拾い集めた杉の葉がパチパチ音を立て薪に火がついて、 お湯が沸く…はずだ。 このお湯が沸く時間は少しかかる。 河津のキャンプに時間はチクチクと時を刻んで 今でもシュンシュンとお湯が沸く時間、珈琲を待つ… なのに待ってもなかなかお湯が沸かない。 夢の中じゃお湯だって沸きはしないんだから、 珈琲も入らないまま、待ち疲れて朝だ^^