人間の国(同じ穴の狢)
再度国を船出したガリバーが、やっとの思いで辿り着いた馬の国(フウイヌム)は、馬が支配者で、人間の姿に近いヤーフは家畜として飼われていた。
馬たちは理性があり、戦いを知らず平和に暮らしているが、ヤーフは食べ物やつまらないことで常に争い事が絶えない族として描かれる。
なぜ、知的で高貴な生き物が馬に描かれるのかは全く分からないのだけれど、フウイヌム(馬の国)がヤーフと呼ぶ野蛮な動物は、顔が人間より少し平たく、鼻は落ち込んでいて、唇が厚く、口は広く割れている。これくらいの違いのいくつかはガリバーの知る人間と異なる点ではあったが、あとはすっかり人間なのだ。
ガリバーは、縁あって仕えることになったフウイヌムの主人と、何とかコミュニケーションが取れるようになると、主人から特別扱いを受けるようになる。しかし、彼もヤーフではないかと問題にする他のフウイヌム達の押しに負け、皮膚が軟くて白い、そして身体にあまり毛のないことや、四足の爪の形が短いこと、いつも二本足だけで歩くことなどの違いを認めても、やはりヤーフに違いないとした判決を承諾する。そしてガリバーは、馬の国(フウイヌム)から追いだされるというストーリー。
*馬の国のフウイヌムはヤーフ(人間)を野蛮な動物だという。今、某国の少なからず多くの民もパレスチナ人は野蛮な動物なのだという。まして、パレスチナという国などないのだから、彼らを殲滅してよいのだそうだ。
過去にユダヤを迫害したナチスドイツ(この期に及んでビビっているしか能がないドイツ)。借りてきた猫(ドイツ)は思いのままうごくヤーフという奴隷と変わりはしないだろうな。
イギリスやフランスの卑怯な無能ぶりも露呈するし、プーチンがEUに憧れながら嫌悪するのも、中国が米国にやられっぱなしになった敗戦国日本の体たらく、欧米の我が物顔に反感を持ち、日本を反面教師にするのも分かる。日本なんて借りてきた猫どころじゃないんだから。
増して人種問題はくだらなく、米国の黒人はアジア人は自分たちより劣る人種だと思ってるのだ。ああー、みんな何考えてるんだか。
アフリカの奴隷時代、欧米人は黒人奴隷を人間などと思っちゃいなかったという本音が見えるから、それに対する憤りがアジア人に向けられるてことかな…。俺たちより下層階級の人間がいるという事で慰められるんだからどうしようもない。まあ、これも人間の真理だけどね。
まして、時の権力者が認めたか認めさせた過ぎないあやしい文書(もんじょ)それは、愚かな人間をまとめ、支配するために、権力者が創った矛盾だらけの物語に過ぎない。ストーリーは時代ごとに加筆され、書き換えられた。それを都合よく解釈して、○○に記されている『約束の地』だとして、軒先を借りて母屋を奪う。これって、いかにもヤーフのやりそうなこと。
どこにもそんな場所などありゃしないのに。そう、あるとすれば創作物語の文書(もんじょ)の中だけだ。
他国も矛盾だらけだし、これらの矛盾を冷静に読み解くことが出来る智慧を持つ人間などいそうもないし。
あ~矛盾を楯に、残虐な殺戮を行うヤーフだから、馬の国(フウイヌム)としては、ヤーフを馬の国にとどめることはとうてい許容できやしない。だから、残虐さを実行する知恵(智慧じゃなくてね…)だけをもつ野蛮な人間ヤーフ(ここではアリババ=???人)は、馬の国から追放されるしかなかったのだ。
これも、どこかに記されていた追放の話だしね。
そう、国を追い出される結論のいきさつに列挙される出来事は、私たちが今現実に経験している人間社会そのものだ。
「おまえの国と国とが戦争をするのは、どういう原因によるのか」と、フウイヌムの主人の質問にガリバーは答えている。
「戦争の原因ならたくさんありますが、主なものだけを言ってみましょう。まず、王様の野心です。王様は、自分の持っている領地や、人民だけで満足しません。いつも他人のものを欲しがるのです。第二番目の原因は政府の人たちが腐っていることです。彼等は自分で政治に失敗しておいて、それをごまかすために、わざと戦争を起すのです」
これって、どこかの愚かな歴史観に凝り固まる国々と同じda…。
あなたが絶対とする勢力範囲の基準、その歴史は複雑に繋がっているんだ。
「そうかとおもえば、ほんのちょっとした意見の食い違いから戦争になります。たとえば肉がパンであるのか、パンが肉であるのかといった問題、口笛を吹くのが、いゝことか悪いことか、手紙は大切にするのがよいか、それとも火にくべてしまった方がよいかとか、上衣の色には何色が一番よいか、黒か白か赤か、或はまた、上衣の仕立ては、長いのがよいか短いのがよいか、汚いのがいゝか、清潔なのがいゝか、そのほか、まあ、こんな馬鹿馬鹿しい争いから、何百万という人間が殺されるのです。しかも、この意見の違いから起る戦争ほど気狂じみてむごたらしいものはありません」
そう、一番厄介なのが宗教的価値観の相違による争いだ。なんだかそのものだね。
いつの時代も、一番厄介な戦争の火種は宗教にあるってこと。
神が人間を創ったのではなく、人間の欲を食む権力が、神を創りたもうたのだ。そんなことすらあなた達は分かっていない。
「…。ヤーフというものは、このお金をたくさん貯めていさえすれば、綺麗な着物、立派な家、おいしい肉や飲物、そのほか、何でも欲しいものが買えるのです。そして、ヤーフの国では、何もかも、お金次第なのですから、ヤーフどもは、いくら使っても満足しないし、いくら貯めてももうこれでいゝと思うことはありません」だそうで、
フウイヌムがいう事には、「もし、ここにヤーフが五匹いるとして、そこへ五十人分ぐらいの肉を投げてやるとする。すると、彼等はおとなしく食べるどころか、一人で全部を取ろうとして、たちまち、ひどいつかみ合いがはじまる」
「また、牛が死んだりした場合、それをフウイヌムが家のヤーフのために買って戻ると、間もなく近所のヤーフどもが群をなして盗みに来る。そして、お前が言ったと同じような戦争がはじまる。…、…。あるときは、何の理由もないのに、近所同士のヤーフどもが、同じような戦争をはじめる。つまり近所同士で、折もあらば不意をおそってやろうと、隙をねらっているのだ」とまさにそれこそが野蛮なヤーフだと言うのだ。
天井知らずの人間の欲望が招いた資本主義の終焉だ。
執着心というのか…、「一切にわがものなし」で生きられたらいいのに。
ガリヴァーが自国の人間の文明や社会について戦争や貧富の差も含めて語ると、2匹のヤーフが輝く石を巡って争っている隙に3匹目が石を奪い取るというヤフーの行為と訴訟を起こす。特に理由も無いのに同種族で争い合うヤーフの習性と争い。人間とヤーフという2種族の類似性に、友人のフウイヌムは「ヤーフはまだ武器や貨幣を作るような知恵が無いから争いは小規模で済むが、お前達のように知恵をつけたらより凄惨な事態を招くのだろうな…」と苦々しげ語る。
人類の文化的躍進のきっかけは、7万年前に起きた「脳の突然変異」だというけれど、文明の進歩ってなんだろうか?
わたし達は、フウイヌムが感じた苦々しさにどっぷりつかったまま、くだらないいがみ合いに明け暮れる。
その取り分、ちっぽけなおこ溺れにあずかって、のほほんとね。
結局どうすることもできやしないってこと。
そう、未来永劫。
てな理由で、数年に一度開かれるフウイヌム国の全体会議は、ガリバーは知恵や理性はあるが、野蛮なヤーフと同一の存在だという結審を下す。ガリバーはフウイヌム(馬の国)を追い出され帰国することになる。
まあ、スウィフトが描いたガリバーは帰国後、人間社会(家族も)を避け、厩で過ごすことに癒しを覚えるのだけれど、私たち人間界には、フウイヌムが言う「凄惨な事態を招く火種」になりえる現代版ガリバーはかなり存在していそうだ。
そう考えれば、ガリバーを追い出したフウイヌムの全国会議は、懸命な審判を下したという事。
わたし達人間の世界は、フウイヌムたちが危惧した武器や貨幣を作る知恵を持つガリバーは多いけれど、正に使う智慧が無いガリバーたちがあまりにも多いんだから。
なるほど…色々と行く末は決まっているのda…。
ヤーフ=ヤフー(Yahoo)かな…、いろいろ説もあるけれど、みんな野蛮な人間だ、大きく間違いじゃないってことかも。あちらこちら、みんな同じ穴の狢なのだから…。
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