もうじき蛍も飛ぶ



部屋の空気が飴色になると
蚊取り線香とうちわをあおぐ影が
縁側のまどろみにゆらいだものだった。
そんな飴色の季節は、若いという憧憬に惑い
わたしの記憶から消えた。
ほんとうに長く消えていたのだ。

何事もなく繰り返す季節が記憶に重なると
あー、そういうことだったんだと分かってきた。

水路にもうじき蛍が飛ぶ







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