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12月 16, 2021の投稿を表示しています

忘却     

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灰色雲のかかる空、寒さもひとしお。 恒例の友人の舞台を観て、ついでに熊谷守一展を覗いた。 約束のお店に辿り着いた時は 白い雪(?)が舞い始めていているようで(そんなはずないんだけど…) そうか、頭の中で降るは雪か、それとも雨か? う~ん、ゆっくり飲めばいいいいかと、良きに計らって ついつい久しぶりのお酒を聞こし召した。 少しばかりなのによく飲んだ気分になるのは年の所為かな。 気分で飲んで、ついでにほろ酔い衝動も気分だ。 「送っていこうか」と言う友を「大丈夫よ」と置き去りにしタクシーを拾う。 いつもの道の対岸をタクシーに揺られ、脳みそも揺られ家路を急ぐ。 「いつもの道と違うかも…でもこのまま行ってください」 と、なんだか意味不明なことを呟いていた。 川の向こう岸、道路際にポツンと古い宿が一軒あって だいだいいろのあかりが幾つか灯る。 けむる対岸かわたしの脳みそか、おぼろに幻想的だ。 東北の雪深い町で見た記憶が想起されると 原因不明な嫌悪に過ぎた時間も、冷たい雪に気が滅入った日々も あれもこれも、みんなそういうものと思えてくる。 記憶の中を歩いても人っ子一人見当たらない。 みんなは元気に暮らしているだろうか? どの鏡の後ろにも 永遠の静けさが一つずつ それから飛び去らなかった 沈黙たちの巣が一つずつ Lorca みんな、音もたてず眠っているのだろう。 霧の中で誰も見えないのは初めから誰もいなかったからか? 否、夜だからだ^^ それとも誰しも人は一人であることを教えられたからか? 否、一人に慣れて、全て忘れてしまったからだ。 タクシーはゆっくりゆっくり夜を走る。 「着きましたよ。1,320円いただきます」 かなりの時間が過ぎていったような気がしたけれど タクシー料金は十数分ほどのメータしか走っていなかった。 夜の時間にはきっと狐か狸が住んでいるのだと思った。 こころも頭もオメメもすこしばかりくらくら。 書きたいことがあったのに 何だかどうでもいいことかもしれないと却下。 一つずつ一つずつ折りたたんで片付けるしかないんだから。 こうして少しずつ、遠くになってゆくのかも知れない。 そう、人間は忘却の生き物だ。