そらのいろ
ゲーテはイタリアを訪れたとき 色彩の豊かさと光に感動して「色彩論」を著している。 ドイツはイタリアに比べると光が乏しいからのようだ。 つまり地域によって、昼の自然光で映える色相の基調が異なり 育まれる色彩に特徴がみられる。 だから日本にも日本の色というのがあるってことかな… そんな恋歌に織り込まれた日本の宙の色を4つ。 色の呼び名も美しく、たおやかで微妙なこころを想う^^ ちぐさいろ(chigusairo) 月草(露草)の別称。 つき草に衣色どり摺らめども移ろふ色というが苦しさ あなたの申し出を受け入れたいのだけれど 移り気にためらう心が詠まれる露草の色。 しおんいろ(shioniro) 紫苑色 野分(台風)の後の紫苑色の夕焼け。 吹き来る追い風は 紫苑ことごとに匂う空も… 中宮を見舞った夕霧が胸をときめかせた紫苑の花の香も届くような。 まそほのいろ(masoonoiro) 真朱の色 真金吹く丹生の真朱の色に出て言わなくのみそ吾が恋ふらくは あなたを恋する心は表立って色に出すのではなく 内に秘めて言わないだけです…と詠まれた、しのぶ恋の色^^ べにばなのいろ(benibanairo) 遠くエチオピアからシルクロードを旅して来た紅花。 紅の花にしあらば衣手に染めつけ持ちて行くべく思ほゆ あなたが紅の花なら、袖に染めつけて持ってゆきたい…と詠まれた恋の色。 平安時代、禁色の濃い紅色に対し、一般に使用を許された淡い紅色を 聴し色(ゆるしいろ)と呼んでいた。