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待つ時間

携帯のテロップにニュースが流れた。 『大罪を犯した死刑囚3人が、 絞首刑による死刑執行は 憲法や国際人権規約に違反するとして、 国に対し刑の執行の差し止めや、 死刑が執行される日を待ち続けることの 苦痛に対する慰謝料など求め訴えを起こした』 昭和時代、死刑の告知は数日前だった。 この数日を待つ死刑囚の精神状態は容易く想像がつくものではない。 死刑執行に立ち会ったという刑務官が 「私が担当した死刑囚は本当に落ち着いていました。 こういう言い方も変ですが、とても立派な態度だったと思います」 とコメントをしていた。 今は、死刑執行を告げられた死刑囚の自殺があったことで、 当日の朝に死刑執行の告知がされているようだ。 どちらにしても執行の日を待つという心理状態の重さを、 容易く想像出来やしない。 以前、些細な犯罪で刑務所暮しを始めた受刑者にしても、 出所の許可が下りる日を 楽しみに待つ者だけではないのではと思ったことがある。 仏蘭西のTV局が日本の刑務所をレポしたドキュメンタリーを見た時だった。 アカデミー賞で日本の『万引き家族』がノミネートされていた頃だ。 老婆の後ろ姿がゆらゆら揺らいで残像がひび割れをおこす。 あれから数年の時が過ぎたが私の脳裏には 今だ老婆の残像がゆらゆら揺らいだままだ。 少し古いデータだが、 高齢受刑者の70歳以上の第1位窃盗が半数以上を占め、 第2位の覚せい剤取締法違反10%弱を大きく上回っているらしい。 しかも窃盗の中身は万引がほとんどのようだ。 しかも白書によれば、65歳以上の万引検挙者数は 未成年者の3~4倍に増えているらしい。 しかし万引きに至る経緯はかなり異なるはずだ。 そこに刑務所の施設の在り方や、 行政側の緒問題があるのではないかと思わずにはいられない。 彼らの待つ時間は軽減されるだろうか? 受刑者たち自身、社会から疎まれている事を充分わかっている。 例え彼らが認知症であっても。