水の争奪戦  



数年ぶりに空の乗り合いバスに搭乗した友から
「ボジョレーヌーヴォ2022予約承りますですって!」とLINE。
今年2022年の解禁は11月17日とのこと。
そこへ今朝のニュースが重なる。

フランスの環境活動家たちが、
カーボンニュートラルとやらで、
駐車している車のタイヤのリムバルブ保護キャップを外したり、
「干ばつによる水不足で、農業用水に使用制限が出されたのに、
ゴルフ場の芝生は『給水禁止除外』なんておかしい」と、
ゴルフ場に無断で入り込み、
ホールカップをセメントで埋めた。

これで芝生にまかれる水はブドウ畑に回されるだろうか…?

フランスのブドウ畑に、
「霜対策で火がたかれた」とニュースが届いたのは今年の春だ。
去年の霜ではかなりブドウやられてしまったけれど、
今年は何とか収穫が戻ると思われた矢先、
この夏の深刻な干ばつの影響が懸念されていた。


「ボージョレー・ヌーヴォお安くなって解禁」
だなんて時代は遠くなったのかな…
もっとも、ヌーヴォなのかヴィラージュなのか、
わたしは買ったことなど一度もないのだからどちらでもいい。
それに、今じゃボルドーのシャトーにはためくのは中国国旗。
ワインの生産者(ドメーヌ)のオーナーも
中国人投資家に虫食い状態なのだ。

何だかな…
昔、ヌーボが解禁になると
「今日はワインを買って…」という日本人が多かった。
きっと気分は「フランス人」だったのだろう。
だから今じゃ「気分は中国人」なのかも…?

「中国は5000年前からワインを飲んでいた。世界が注目」
だなんて大風呂敷で中国寄のコピーが躍っても…、
ワインはエジプトからヨーロッパへ、
ヨーロッパから、かの絹の道を通って中国に伝わったのだし、
そもそもエジプトでは紀元前8000年ごろ、
諄いのですが紀元前8000年ごろから飲まれていたのだし。

そう、古代エジプトでは、ワインはファラオと神の飲み物で、
一般に普及したのは新王朝時代ごろからだ。
当時の庶民はと言えばビール。
この時代にビールもすごいけれど…!
大衆はピラミッド建設に携わることで
パンやビールの振る舞いを受けていたようだ?
でも、きっとぬるいビールだっただろうな…と思う。
そもそもビールを冷たくするのは日本の飲み方らしい。

どちらにしても、そんな特別感があったワインだけど、
当初は野生のブドウをつぼに詰めて発酵させただけのもので、
今のように洗練されてはいなかった…




それでも、彼等はとてもワイン好きだったようで、
近隣諸国も生産を始めたことから輸出入がはじまり、
既に「ソムリエ」らしき職業も生まれていた。
このころになるとブドウも野生ではなく、
歴代のエジプトの王はワイン農場を持つようになって、
ワイン用ブドウの栽培が行われはじめたのだ。
もちろんあのクレオパトラも農園を所有していた。
彼女(クレオパトラ7世(*1))の自殺をもって、
古代エジプトの壮大な歴史は永い眠りについたのだけれど、
ワインは、悠久の時を超え受け継がれていった。
今じゃ、わたしが住む町でもワインを生産しているのだ…。


そもそもわが県は淡麗辛口が主とされるけれど、
色々な味の地酒がある。その品質は折り紙付きでね^^
だからかな、
ゴルフ場の芝生よりはブドウ畑に水をあげたいと思うのだけど、
争奪戦の軍配はどちらに上がるのだろう。
(*1)クレオパトラ7世:在位紀元前51~30年。プトレマイオス12世の娘。


個人的な話題に飛んで、
昔、ヤマブドウの木を1本買って育てたことがある。
ワインをつくる野生のブドウだ。

 











収穫があまりにも少ないし、
発酵を待てず、ジュースのままで試飲してしまったけれど、
それでも太古のエジプトで飲まれていたかと思うと、
思わなくても、ちょっと其の辺にない美味しさに酔った^^
気分はクレオパトラということかな…?




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