顔     


急ぎ足で時間を追いかけて…。

そうじゃないかな。

津波のような時間に追いかけられ、

逃げるように生きてきたのかもしれない。


滲む汗を手の甲が拭う。

涙じゃないよ汗をね。

でも思う。


             ▲二度と町を走ることのないローカル電車の顔




「40歳を過ぎた人間は、自分の顔に責任をもたねばならない」

と言う言葉が気になったこのごろ。



マスクから解放される日常が増えて

マスクでみえなかった時を生きていた顔がポロポロこぼれてくる。

その口元には、もう一人の人間が存在していた。


目は口ほどにものを語るわけでもない。

何故なら、マスクの下に隠れていた君の口元は

全く別人格を生きていたのだから。

ああ、そんなに意地悪く口元をゆがめてはいけない。

もうマスクは外されているんだから。





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