プーシキン    




『ヒトラーvs.スターリン 独裁者の対決』

録画しておいたNHKのドキュメンタリーを見た。


西側諸国では、スターリンはヒトラーと並ぶ

20世紀最大の独裁者らしい。

しかしロシアではプーチン政権下、

過去の独裁者スターリンを評価する動きが浮上した。

そもそもロシア人には根強いスターリン崇拝があるようだ。

そうか、ペレストロイカの頃のスターリン批判は

知識人の間だけで語られた動きに過ぎなかったったんだ。


私にすれば、ほとんど読破していなくての、ロシア文学だ。

それでも、映像からのインパクトがあったからかも知れない。

荒涼とした大地のイメージに魅了されたものだった…



そう言えば当時、

マーケットのオープンスペースで彼とお茶していた時、

突然話しかけてきた老人がいた。

なぜその方との会話が始まったのか記憶にないが、

多分、わたしと一緒にいた彼は学生の頃ロシア文学を専攻していて、

ロシアに関する資料を手にしていたのではないかと思う。

もっとも当時の私には、

ロシアとヨーロッパの重い歴史を語れる知識はない。

老人と彼が熱っぽく語り合う空気に参加することは出来なかった。

ただ、老人が厳しい口調で、

「ロシアは恐ろしい国だ」と言った言葉だけが耳に残った。





プーシキンの詩(金子 訳)

日々のいのちの営みがときにあなたを欺いたとて

悲しみを またいきどおりを抱いてはいけない。

悲しい日にはこころをおだやかにたもちなさい。

きっとふたたびよろこびの日がおとずれるから。


こころはいつもゆくすえのなかに生きる。

いまあるものはすずろ にさびしい思いを呼ぶ。

ひとの世のなべてのものはつかのまに流れ去る。

流れ去るものはやがてなつかしいものとなる



私が見ていたのは、

一般大衆の愛国心に強いロシア人には、関係のない文化だったのか。

もしかしたら、激動の時代の文化はひ弱だったのかも知れない。

それでも、ロシア人の中でプーシキンだけは別格らしい。

ウクライナ侵攻が原因じゃないだろうけど

ロシア文学はほとんど絶版になっていた。

かろうじて本棚あった『ロシアの美的世界』木村 浩著を手に取った。

昔の日本人は愚かなくらいロシア文化に憧れていたようだ。

何だかエリート意識が鼻につく。


革命前のロシアが憧れたフランス文化も

正直どこがいいのか私には分からない。

どれくらいの日本人が仏文学を理解しているのだろう。

そもそも私は語学が出来ないし、フランスで暮らした経験もない。

本当の意味で理解など出来やしないだろうとは思う。

ただ、感覚的ではあるけれど、

私はデザインや色彩の好みも、

料理もデザインもファッションもフランスはださくて、

センスは歴史的にいってもイタリアにあると思っている。

例えば、理屈っぽさが最悪なドイツのマイセンは

呆れるほどの「下手くそな絵付けだ」ってね思ったものだ。

特に中国風と言われる陶磁器。

どちらかと言えば、時の権力者が認めたからとか、

赤が珍しいからとかで、

作品に評価が生まれると言う価値観は私にはない。



こうして、フランスやロシア文学への熱は消え失せたのだが、

それでもロシア人の中でプーシキンだけは別格らしい。

訳者によるのだろうけれど、好奇心がある。


ただ、我が家の本棚にも、ネットの古本屋にも見つからないままだ。



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