渇愛            


執着などじゃないんだから、
てね、そう思うのだけれど。

スクールカウセラーをしている妹からLINEが入った。
「この頃思うの、もう辞めてやるんだからって…」
物事に心躍らせることもなくなった。
そう、とおの昔にだ。
「当り前だけど、世の中なんて正義感だけじゃ生きてはゆけないし…」
「待ってよ。生きてゆけない何てどころの騒ぎじゃないんだから」


そう言えば能登震災のニュース番組だった、
ご高齢のスクールカウンセラーが、
被災した子供たちにアドバイスする情景が映し出されていた。
片方の耳がうすっぺらいスピーカーから流れてくる声を拾う。
待ってよ、そんな箇条書きのアドバイスでいいの…、
なんて思いながらね。

でもね、
マイクが向けられ感想を語る少女(小学生の高学年?)は、
「いろいろ為になりました。今後に活かしてゆきたいと思います…」
凛とした表情で応える。
『我が小学校の生徒として恥ずかしくない三重まるの回答だ‼‼』
なんて思いながら、少女の頭を撫でている校長の姿が目に浮かぶ。

確かに、ほころびの無い賢そうなコメントだ。
この少女のコメントに、なんと健気な子供だろうと涙ぐむのだろうか?
でも、こんな言葉を言わせるのは、いったい誰なんだ?


ぬくもりの手を拒否した廃屋の北側、
壊れかけた庇の格子窓の下に小さな焚口が見えた。
そこに繰り返されただろう日常は一瞬に消え去り
そうしてスローモーションに崩れていったに違いない。

昨日までの時がどのようであったのか
私に思い入れはない。
こころに積み上がるものなどありゃしない…
幼子に手を差し伸べるように
枝を伸ばしていた松の木が姿を消した事も。
松をゆする音とともに抜けていった風と、
松の葉を焚口にくべる背中がそこにあって、
パチパチ纏わりつきながら、その背に赤い火の子が遊ぶ光景もだ。

だいいちさ、
そこに手を伸ばしても、もう、誰にも届きゃしない。




コメント

koume さんの投稿…

サクラがさきはじめましたね。
自然っていじらしいほどに予定を消化していくって
感心してます。

大坂では公立高校の志願者が激減だそうです。
こうこうの授業料が免除になったので私学に流れたのでしょ。
あきのの さんの投稿…
おはようございます。
此方も満開です。
今日、花見の予定でしたが気分になれず、今、キャンセルの連絡を入れました。
十数名の賑やかなお花見がしんどいと思うのは年の所為かなと思いつつ。

koumeさんのブログアクセスできます。
mixiは何故か分かりにくく、お手上げでした。
これからは、gooブログからこちらにアクセスします。
Bloggerは今年7月から仕様変更され移行も面倒ですし、これを機会にやめることにしました。
ロボットも含めかな…(?)記事によって海外ルートのアクセスもあり、
この時代、やや不安になります。
mixiはとても閉鎖的ですか?
gooはやや閉鎖的であることは否めないかも‥と感想を抱きつつ、
それでもmixiほどではなく、不明なアクセスが無さそうだで、安心かなと思います。

このブログを整理しながら、明日にでもkoumeさんのブログにアクセスします。
よろしくお願いします。